Forever&Ever(3)

聖地に異変あり。
それは、この世界の基盤を揺るがすほどの知らせである。
それがゆえに、その知らせは極秘裏に走る。
人選は慎重に行われ、結局前回の異変時と同じメンバーに伝えることで落ち着いた。
聖地に召喚された彼らは、しっかりとした説明は後回しに、いきなり現地へ急行させられる。
聖地の女王、それにその補佐官。
9人の守護聖。
そして前回の女王試験を契機として、聖地に深く関わる事となった6人の男達。
即位して今は国王となったティムカも、その中の一人であった。
時空を超えた未来の世界が、暗黒の闇に支配されている。
それを救うことが、どうやら唯一異変の解決策であるらしい。
だんだんに明かされる不思議な現象の正体に、みな恐れ怖じそして緊張していた。
緊迫した空気の満ちる中、異世界の大地アルカディアでの生活が始った。

仮の住まいとはいえ、しばらく滞在する事になるのならと、金の髪の女王はここへ召喚したそれぞれに、通常の住居と似通ったものを用意した。
補佐官であるロザリアには女王と同じ建物内に、新しい部屋が用意される。
「私のお部屋から、ちょっと離れてるのよ。
これからしばらく、ロザリアとは朝も昼も一緒。
執務室も別にあるけれど、聖地の聖殿のようなわけにはいかないもの。
離れてる方が良いでしょ?
お互いにね?」
金色の髪の女王は、緑色の瞳を見開いていたずらっぽく笑う。
「長い滞在になるわ。
その間、仕事のことばかり考えてるなんて、冗談ではないものね。」
「陛下、もう。
冗談をおっしゃる状況ではございませんでしょう?」
生真面目に眉をひそめ、ロザリアは女王の言葉を止める。
公務を離れれば、このいたずら好きの女王はロザリアにとって大切な親友でもあった。
この尋常ならざる異変時に、こんな軽口を叩くなんて・・・。
呆れてはいるが、やはり彼女らしいとも思う。
「あら、そうかしら?
まぁ良いわ。
とにかく私は一応気配りをしましたからね。
オリヴィエに、よく伝えておいてね。
無粋だなんて、言わせませんから。」
以前、彼になにか言われたのだろう。
思い出したのか、女王はぷうっと頬を膨らませた。
夢の守護聖、オリヴィエ。
派手な身なりをして、いつもふざけた口をきく男。
彼なら、言うかもしれない。
聖地の女王に向ってさえも、
「あんた、野暮だったらないね。」
そのくらいのことは。
内心で噴き出しそうになりながら、ロザリアは恭しく頭を下げる。
「はい、陛下。
必ず伝えますわ。
お心遣い、感謝いたします。」
今夜、彼は来るだろう。
おそらくはきっと。
非常事態の緊張感が、彼をわくわくさせているはずだから。
確かに、女王と離れた部屋はありがたい。
下げたままの頭、視線は床に落としたままで、ロザリアは微笑する。
聖地よりやや遅い夕暮れが、そろそろ終わりかけていた。

「へぇ・・・。
そんなことを、あの子が?」
闇の中。
白い指が夜着の肩紐をはずす。
細い紐の結び目だけで支えられた夜着の縛り。
生成りのシルク地がはらりと滑り、裸の肩があらわになった。
腕の付け根に唇が落とされる。
熱さに思わず目を閉じたロザリアの耳元に、低い声。
「大人になったとほめてあげなきゃ。
あの子も・・・ね。」
耳たぶに甘い痛み。
まだ耐えられる。
ロザリアは唇を噛み締めて、喉もとで声を押し殺す。
「この嘘吐き。」
湿った声が淫らに笑う。
「脈が速い。
次はどうして欲しいのかな?」
唇は耳の裏から首筋へと這い下りる。
同時に、美しく整えられた長い爪の指が、ロザリアの脇から腰の線をそっと滑り。
たまらず声を上げる。
「・・・あ。」
吐息の混じった甘い声。
なだらかな腰のラインを幾度か行きつ戻りつした後で、男の指はさらにその下へと滑り降りて行く。
やわらかくまるい二つの丘陵。
足の付け根との境目でぐずぐずとしてみせる。
知らぬ間に、ロザリアは腰を浮かせていた。
欲しい場所へ導くために、自ら男の指を追いかける。
「おねだりかい?
仕方ない子だね。」
背中にまわされた腕がわずかに動き、指がゆっくりと指し入れられた。
「ん・・・・。」
2本の指が、すでに期待で潤みきった敏感な肉ひだを好きにまさぐる。
そしてわざと焦らすかのように、男の長い爪が時折彼女のもっとも敏感な尖端を弾いた。
触れるでもなく、触れぬでもない。
「いや・・。」
潤んだ青い瞳に涙が浮かぶ。
「何が?
いやって、なにがいやなのさ?」
かすれた声が追い詰める。
「言ってごらん。
なにがいや?
どうして欲しい?」
身体の求める快感と、それを口にする屈辱とのはざまで、ロザリアは首を振る。
「助けて・・。
オリヴィエ、もう。」
「いつまでたっても、お姫様だね。
誇り高い。」
けっしてその性質を嫌っているわけではない証拠に、男は彼女の身体を押し倒す。
やや乱暴に、その身体を寝台に押し付けてから。
男はロザリアの白い腰に、唇を落とした。
「すぐに楽にしてあげる。
いや、もっと辛くなるかも・・だけどね。」
すぐに。
ロザリアの白い喉から、嬌声が迸る。
夜の闇が吸いとって、そして消した。