幸福への回帰(4)
まっすぐに彼女を見つめてくれる蒼氷色の瞳に、惹かれてゆくのが怖かった。
軽い冗談、彼女をからかういたずら気な笑顔。
ひときわ目立つ赤毛の長身。
その姿を見つけると、ドキリと心臓が跳ね上がるようだった。
恋をしたことのないロザリアにも、自分の感情の名はわかった。
これ以上、夢を見てはいけない。
そう思いながら、もう少し、あともう少しだけと言い訳をして、焦がれる思いに身を任せていたある夜、ついにオスカーが口を開いた。
「傍にいてほしい。」
目が眩むほどの幸福が、ロザリアの身体を駆け抜けた。
そして同時に、ここまでだと自分に言い聞かせる。
「陛下が即位なさる時に、わたくし約束いたしましたの。
けして一人にはしない。
これから先は、ずっと一緒にいると。
約束は、守らなくてはなりませんわ。」
そうして彼女は、自らの心に鍵をかけた。
もう2度と、こんな思いはしたくなかったから。