親密度0の真相
朝から良い天気だと、執事が起こしに来る。
何年私と付き合っているのか。
私には朝など関係ない。
晴れであろうが雨であろうが、たとえ空から針が降ってきたとしても私にはどうでも良いことだ。
私が起きねばならぬとしたら、ただ一つの場合のみ。
ふっ・・・。
あの愛らしい金の髪の女王候補と約束があるときだけだ。
面白くもないことだが、今日は彼女が私を訪ねる予定はない。
であれば、執務室に出かけることもあるまい。
夜が来るまで眠ることにしよう。
○月△日火の曜日晴れ
今朝はジュリアスからの使いがやってきた。
あれの手紙を携えていたようだったな。
どうせ職務怠慢だとか厳罰に処すぞとか、下らぬことが書いてあったのだろうよ。
全くあれも進歩がない男だ。
一体何年私と付き合っているのか。
無視して今日も夜まで眠ることにした。
・・・・。
金の髪の天使は今日も私に連絡をしてこない。
○月▲日水の曜日晴れ
今朝はジュリアス自らがやってきた。
私の枕もとでなにやらくどくど言っていたようだったが、覚えておらぬ・・な。
あれは血圧が高いのか・・。
あのように赤らんだ顔をして・・・。
若いとは言えぬ身なのだ。
せいぜい大事にするが良い。
ふっ・・。
私には関係のないことだったな。
・・・・。
今日もまた、金の髪の私の天使は来なかった。
○月●日木の曜日晴れ
今日は起きることにした。
執務に出かけるのも鬱陶しいことだが、やっておきたいことがある。
私はどうやら間違っていたようだな。
ただ待っているだけでは駄目なのだ。
金の髪の私の天使は、恥ずかしがっているのではないか。
であれば、私の元へ来やすいようにしてやらねばなるまい。
ふっ・・・。
それが男の務めというものやもしれぬ。
私の天使の大陸から闇のサクリアを引き上げる。
さすれば、彼女は民の望みを口実に私の元へやってこられるではないか。
ふ・・・。
なぜ、もっと早くにこうしてやらなかったのか・・・。
私も気のきかぬことだ・・な。
○月□日金の曜日晴れ
今日も私の天使は姿を見せぬ。
この私が朝から待っていたというのに・・だ。
どうやらサクリアの引き上げ方が足りぬらしい。
今宵はさらに、多くのサクリアを引き上げる必要があるだろうな。
根こそぎ奪ってみるのも、一興・・か。
○月■日土の曜日晴れ
今日は大陸の視察日だ。
私の天使は民から闇の力を望まれるであろう。
心優しい天使のことだ。
それを無視するわけにはゆくまい。
明日にでも、いや今夜にでも私に依頼に来るだろう。
休日に職務を持ちこむことなどご免こうむりたいことではあるが、かの天使の為ならば、それもやぶさかではない。
今宵は眠れぬ夜になりそうだな。
<視察がえりの女王候補の会話>
R.ロザリア A.アンジェリーク
R:あ~あ。あんたの大陸クラヴィスさまの建物、一つも無いじゃないの。なにかお気に障ること、したんじゃないの?
A:う・・う~ん。心当たり全然無いの。でも、なんだか怖くって、執務室にも伺えなくって。
R:ふ~ん。でも、あんたもなかなかやるわね。クラヴィスさまの建物無くなったところ、ほとんど埋まってきてるじゃない の。
A:えへへ・・。ジュリアス様がなんだか贈り物をしてくださってるようなの。こういうのって、嬉しいよね。
今日もこれからお屋敷に伺うんだ。
ちょっとドキドキしちゃうな。
R:あら、あんたもなの。わたくしはオスカーさまと遠乗りのお約束があるのよ。
こんなところでぐずぐずしていられないわ。
帰って支度をしなくてはね。
それじゃあ、失礼するわ。
A:うん。頑張ってね、ロザリア。
さあ、私も着替えに帰ろうっと。
何着て行こうかな。
ジュリアス様はどんな洋服がお好きなのかしら?
やだ・・。
ホントにどきどきして来ちゃったな。
一月後、女王候補アンジェリークは試験をおりた。 それから先はジュリアス様と二人の物語が始まります・・・というところだが、さて穏かにゆきますことか。 ゆかないだろうなあ。