Valse~Au revoir~ (3)
端の黄ばんだ厚ぼったい紙には、もう遠い昔に滅びた文明の、残した文字が連なっている。 壁画の描き方について扱ったものだが、ところどころにインクがにじんで、文字の判読が難しい。 前後の言葉から、虫食いになったその個所を推測し… Valse~Au revoir~ (3) の続きを読む
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端の黄ばんだ厚ぼったい紙には、もう遠い昔に滅びた文明の、残した文字が連なっている。 壁画の描き方について扱ったものだが、ところどころにインクがにじんで、文字の判読が難しい。 前後の言葉から、虫食いになったその個所を推測し… Valse~Au revoir~ (3) の続きを読む
完全なる調和に満たされた宇宙は、この上もなく穏やかで、そして美しい。 前女王治世の末期、崩壊しかけたこの世界であれば、今のこの世のなんと夢のようであることか。 それは当代女王の偉大な力の証左であり、すべての民の女王への信… Valse~Au revoir~ (2) の続きを読む
その夜、聖地は穏やかな静けさに包まれていた。 夜が明ければ、現女王は退き、新たに選ばれた女王が立つ。 歓喜と熱狂とを前にして、とりわけ粛々と夜は更けてゆく。 時計の針は、既に午後8時を回っていた。 ちらりと壁の時計を見や… Valse~Au revoir~ (1) の続きを読む
翌日、オリヴィエがホテルを出たのは、もうそろそろ陽も傾こうかという頃だった。 昨晩、威勢の良いことを言ってはみたものの、いざとなるとやはり怖い。 自分の目で確かめることが、オリヴィエには恐ろしかった。 あれから三年。 オ… Eine Rückkehr ~帰郷~ (15) の続きを読む
浅い春。 辺境の惑星でも、ようやく名残の雪が融け始めた頃。 一人の青年が、首都の空港に降り立った。 金色の長い髪にサングラス。 白い革のコートを、袖も通さずにひっかけただけの長身は垢抜けて、なんでもない所作の一つ一つが華… Eine Rückkehr ~帰郷~ (14) の続きを読む
午後の補佐官執務室。 ばさばさと音を立てて、至急扱いの書類が散らばった。 凍りついた表情の補佐官が、ようやく口にする。 「今、なんとおっしゃって?」 痛ましげにその様子を見つめるのは、金の髪をした首座の守護聖。 けれど彼… Eine Rückkehr ~帰郷~ (13) の続きを読む
一面の雪原。 ぽつぽつと家らしい建物が散在する他、何もない。 だだっ広い雪の原が、シャトルのタラップに立つ、二人の目の前にあった。 白一色の世界は、美しいと言うよりも、むしろ寂しい印象であった。 あまりに何もない。 いや… Eine Rückkehr ~帰郷~ (12) の続きを読む
それは突然だった。 身体に力が入らない。 自分の身体がまるで別物になったような、不思議な感覚。 夜中、自分の身に起きた異変に、オリヴィエは声を上げた。 「なんなんだ、これは!」 そして悟った。 来たのだと。 サクリアの尽… Eine Rückkehr ~帰郷~ (11) の続きを読む
休日の朝。 夜も明けきらぬ早朝に、ロザリアは目を覚ます。 生家から連れてきた愛馬が、朝駆けを楽しみに待っているはずだった。 それは彼女の方でも同じで、女王候補時代など遊んでいるようなものだったと思える今の多忙な生活に、早… Eine Rückkehr ~帰郷~ (10) の続きを読む
星の綺麗な夜だった。 まるで空までもが、新女王の即位を祝っているかのように、惜しげもなく星は煌き輝いている。 見上げればあの夜と同じ、乳白色の帯が空を横切って、小さな星屑のかけらは今にもこぼれんばかり。 「ったく、これじ… Eine Rückkehr ~帰郷~ (9) の続きを読む