花の咲く頃(4)
風を切る。 夜の闇を縫って、馬は駆けてゆく。 びゅうびゅうと音を立てて風が耳元で唸った。 恐ろしくはない。 なのになぜ、こんなに胸の動悸が速いのか。 「出てこられないか?」 その言葉が、すべての思考を停止さ… 花の咲く頃(4) の続きを読む
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風を切る。 夜の闇を縫って、馬は駆けてゆく。 びゅうびゅうと音を立てて風が耳元で唸った。 恐ろしくはない。 なのになぜ、こんなに胸の動悸が速いのか。 「出てこられないか?」 その言葉が、すべての思考を停止さ… 花の咲く頃(4) の続きを読む
逃げ出した。 そう。 わたくしは逃げ出しただけですわ。 どうしてみんな、わたくしがいつもいつも理性的であれると思うのでしょう。 あの時もそう。 そうだったのですわ。 わたくしの中にあった、まだ形にならない思… 花の咲く頃(3) の続きを読む
「リュ・・ミエール。」 ようやく彼女の前にたどり着いたわたくしを迎えたのは、呆然とみつめる青い二つの視線でした。 思いもかけぬわたくしの来訪に驚き、次には困惑し、最後にははっきりと迷惑そうな表情が、その瞳の… 花の咲く頃(2) の続きを読む
ゆるい上り坂が、だらだらと続いていました。 曲がりくねった細い山道はまだ当分終りそうもなく、足がだんだんと重くなってゆくのをどうしようもありません。 こ一時間もあれば着くだろう。 ふもとの村の方に教えられた… 花の咲く頃(1) の続きを読む
「あいにく、今はどなたにもお目にかかりたくはないと、そうおっしゃっておいででして。」 初老の執事が、申し訳なさそうに首を振る。 夢の守護聖の私邸、その玄関前。 整えた細い眉を寄せて、ロザリアは気遣わしげに寝室辺りを見上げ… Fever の続きを読む
庭先の物音。 辺りを憚る小さな悲鳴。 オリヴィエの胸が高鳴る。 ばたんと、両開きの窓を開けた。 暗がりにうずくまる小さな人影。 胸の鼓動が速くなる。 間違えるはずなどない。 あれは・・・! 声をかけることさえ、オリヴィエ… 萱葺きの城(20) の続きを読む
聖殿大広間。 女王の即位の式典はここで行われる。 その存在を多くの者が忘れ去るほどに滅多に開かぬこの部屋は、千人は楽に収容できる広さと、なによりも許す限りの豪奢な造りを誇る。 高い天井はゆるいカーブを描いた… 萱葺きの城(19) の続きを読む
許して欲しい。 そう言ったオリヴィエの口元を、ロザリアは見つめる。 許す? 一体何を。 心の城に誰一人いれず、たった一人で住まう心細さは、多分ロザリアが誰よりも知っている。 もしシュプリーム号なくば、今のよ… 萱葺きの城(18) の続きを読む
どうしてこんなに腹が立つのだろう。 聖殿を後にしたロザリアは、そのまま自分の部屋へ帰る気がしなかった。 気分が波立っている。 こんな時彼女の気分を静めてくれたシュプリーム号は、もういない。 苛立つ気分のまま、彼女の足は自… 萱葺きの城(17) の続きを読む
おそらくこれが、最後の定期審査になるだろう。 女王試験に関わった総ての者が、口にこそ出さないがそう思っていた。 月に一度の定期審査の日であったが、ここ最近では審査する必要もないほどにロザリアの圧倒的な優勢が… 萱葺きの城(16) の続きを読む