Eine Rückkehr ~帰郷~ (8)

次期女王が決まった。 金色の髪をしたまだあどけなさの残る少女に、女王は自らの玉座を明け渡す。 ごく質素な即位の式典があって、その後すぐに新女王は滅びかけた宇宙の移転を軽々とこなす。 すべての命を抱きしめて、新しい女王はに… Eine Rückkehr ~帰郷~ (8) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~ (7)

しっとりした闇の覆う聖地。 女王のお膝下でもあり、普段不行状を咎められる者も、さすがにここでの無遠慮は慎むようで、しんとした静寂と穏やかな闇が、いつも変わらず心地よい。 私邸を出たオリヴィエが向かうのは、女王候補の住まう… Eine Rückkehr ~帰郷~ (7) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~ (6)

「フェリシア、どうも良くないみたいだな。」 ブランディ入りの紅茶の湯気を眺めながら、そう口にしたのは炎の守護聖オスカーである。 女王試験も終盤にさしかかり、そろそろ玉座の行方も見え始めようという頃。 それまで圧倒的に優勢… Eine Rückkehr ~帰郷~ (6) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~ (5)

休日の朝。 靄のかかった景色を見下ろして、ロザリアは大きく息を吸い込んだ。 生まれたての朝の陽を浴びながら、バルコニーへ舞い降りた小鳥に微笑する。 「おはよう。 良い朝ね。」 口調が甘い。 それは約束のせい。 この後すぐ… Eine Rückkehr ~帰郷~ (5) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~ (4)

「ねぇ、ロザリア~。 で、さ、どうなってるの?」 夜遅く、眠れないからとロザリアの部屋へやって来たアンジェリークが、テーブルの上のクッキーをつまみながら、切り出した。 そろそろ休みたい時間であったから、迷惑千万な訪問であ… Eine Rückkehr ~帰郷~ (4) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~ (3)

白を基調に金と青を配した執務室は、主である光の守護聖ジュリアスの存在で完全な調和を作り出す。 聖地にある、九人の守護聖の長。 豪奢な金の髪をした貴公子は、青と金で縁取った白絹のトガを自然にまとい、控えめなノックの音に瑠璃… Eine Rückkehr ~帰郷~ (3) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~ (2)

羽飾りがあると良い。 ハンガーにかけた新調の衣装を眺めて、オリヴィエは思いつく。 「そうだねぇ、毛足の長いものの方が良いね。 うん。 その方がきっと映える。」 真珠色の光沢をもった、てろりとした絹の生地。 そのままでも十… Eine Rückkehr ~帰郷~ (2) の続きを読む

Eine Rückkehr ~帰郷~

パラパラパラ…。 スレード葺きの屋根が鳴る。 時折混じる一際大きな音が、なんとも無粋で神経に障った。 薄汚れて濁った色の塊は、雨にも雪にもなれない半端もの。 いっそ雨なり雪なり、はっきりすれば良いと、その中途半端さにいら… Eine Rückkehr ~帰郷~ の続きを読む

あなたの大切なものを

青薔薇祭2020投稿作 陽が傾くあたりから、様子がおかしくなる。 まず口数が減る。それも極端に。 時計を見る頻度は上がる。やはり目に見えるほど。 執務机の正面、一目で時代を感じさせるアンティークの置時計は、この部屋の主が… あなたの大切なものを の続きを読む