金と銀(2)
黒い煙が皇宮を覆う。 一斉に放たれた火矢が、そこかしこで火の手を上げていた。 「緩めるな。 間断なく射続けよ。」 城門近くにまで馬を進めたカインが、檄を飛ばした。 ついに後宮へまで届いたオレンジ色の軌跡を確認し、カインは… 金と銀(2) の続きを読む
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黒い煙が皇宮を覆う。 一斉に放たれた火矢が、そこかしこで火の手を上げていた。 「緩めるな。 間断なく射続けよ。」 城門近くにまで馬を進めたカインが、檄を飛ばした。 ついに後宮へまで届いたオレンジ色の軌跡を確認し、カインは… 金と銀(2) の続きを読む
「だって気持ち悪いでしょう?」 誰だ、この女は。 「ちゃんとしたホテルに泊まれるの、まだ先になるわ。 とうぶんこんな風に外で寝るのよ。 できることはしなくっちゃ。」 目の前には小さなせせらぎがあって、彼女の隣りには籠が置… 金と銀 の続きを読む
此岸と彼岸の狭間を流れるこの川に果てはない。 始まりのない川上、終わりのない川下。 何処までもただ続く、蛇行したその流れ。 名を、忘却の川という。 立ち上る靄、立ち込める霧。 白木の小船が川面に浮かぶ。 ぼ… 至福 *悲恋注意* の続きを読む
「あきらめるんだな、ジュリアス。 悪い事は言わん。」 いつも無表情のクラヴィス神父が、珍しくうろたえている。 「相手が悪い。」 ちらりと視線で指し示す先には、にっこりと微笑する美青年。 まるで女のように繊細… ハロウィンの夜 の続きを読む
「父上、俺はやはり不肖の息子ですね。」 両親の墓前、白い百合を手向けて、オスカーは父に話しかける。 「どうかお許しください。 もう少しだけ…、未練がましくあることを。」 草原を渡る風に混じって、父の笑う声が聞こえたような… Die Station ~ die zu Heaven fortsetzt~(16) の続きを読む
それは辺境から始まったのだと、クラヴィスは語った。 女王の統治するこの宇宙は、主星を中心に大きな楕円形を描く島宇宙である。 前女王は崩壊しかけた宇宙の維持に、その力を吸い取られ、それが故に前代未聞異例の速さで玉座を去った… Die Station ~ die zu Heaven fortsetzt~(15) の続きを読む
草原の惑星と人の呼ぶ、緑の大地がオスカーの故郷であった。 見渡せば遥かに続く草の原。 風が吹けば、緑の絨毯がいっせいに色を変える。 遅れて青い草いきれ。 じきに正午になろうという頃、オスカーは小高い丘の上にある両親の墓所… Die Station ~ die zu Heaven fortsetzt~(14) の続きを読む
陽が上る。 茜色に染まるく聖殿が、オスカーの間近にあった。 東の窓から見える朝のこの光景は、守護聖に就任して以来ずっと愛してきたものだ。 薄くらがりの地を次第に温かく染め変えゆくその様子は、女王のサクリアがあたりに広がり… Die Station ~ die zu Heaven fortsetzt~(13) の続きを読む
聖なる女王の力は偉大である。 統治するその宇宙、あまねく全土に秩序と安寧の日々が訪れた。 生きとし生けるもの、そのすべては生まれ、育ち、やがて安らかな死を迎える。 そして転生。 巡る生の循環は、新女王の御代となって、途絶… Die Station ~ die zu Heaven fortsetzt~(12) の続きを読む
夜空を翔る。 白い馬は、炎の守護聖の手綱に従って、星の煌く墨色の空を静かに。 「どこへ…まいりますの?」 カタルヘナ家での別れをすませ、尽きぬと思われた涙もついに枯れ果てたロザリアが、まだ涙の残る青い瞳をあげて手綱をとる… Die Station ~ die zu Heaven fortsetzt~(11) の続きを読む