夜曲(12)
空と海との際が白み、ついでばら色が続く。 ひんやりと湿った朝の空気が、岩屋にこもるリュミエールに別れの時を知らせた。 しっかりと腕に抱いた愛しいロザリアを、もう一度抱きなおす。 艶のある長い髪に顔を埋めて、苦しげ… 夜曲(12) の続きを読む
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空と海との際が白み、ついでばら色が続く。 ひんやりと湿った朝の空気が、岩屋にこもるリュミエールに別れの時を知らせた。 しっかりと腕に抱いた愛しいロザリアを、もう一度抱きなおす。 艶のある長い髪に顔を埋めて、苦しげ… 夜曲(12) の続きを読む
潮の香りのする風が、頬を撫でてゆく。 もうすっかり肌寒い季節になっているというのに、まるでロザリアを守るように、風は温かく優しい。 銀の髪の青年に導かれ、黙って従うのはこれで二度目であった。 違うのは向かう先。 … 夜曲(11) の続きを読む
ひゅるりと冷たい風が吹き抜ける。 ふるりと小さく身震いをして、ロザリアはバルコニーへ続く窓を閉めた。 ガラス越しの木々の葉は、いつの間にかすっかり色づいて、その向こうに広がる海も、夏の穏やかな顔を消している。 弱… 夜曲(10) の続きを読む
「気がついた時、わたくしはもうこの姿でした。 人の姿を失って、それでもわたくしは嬉しかった。 これで貴女をお待ちできる。 ただそれだけが、わたくしの望みだったのですから」 リュミエールは、長い昔語りをそう結んだ。 月… 夜曲(9) の続きを読む
冬の終わりを告げる嵐が、穏やかな海に吹き荒れた晩の事だった。 激しい雨風が館の窓を叩き、ガタガタと恐ろしい音をたてていた。 しばらくくすぶり続けた胸の不安を、そのまま映したような空模様に、リュミエールの身内で何かが… 夜曲(8) の続きを読む
白々と降り注ぐ月の光の下、銀色に輝く長い毛並みをロザリアは愛しげに抱きしめた。 「ようやく会えましたわ」 戸惑いも恐れも何もないその声に、リュミエールはほうとため息をつく。 「あなたという方は……」 まるで驚きもし… 夜曲(7) の続きを読む
あれ以来、銀色の髪をした青年は、思い出したようにふいっと、ロザリアを訪ねて来るようになった。 それはいつも突然で、気がつけばそこにいるといった風に。 日暮れてしばらくした頃、いつのまにか現れる。 別にとりたてて何… 夜曲(6) の続きを読む
湿った緑の匂いがする。 開け放った窓からの風は、木々の息吹をたっぷり含んでいて、季節は初夏に移ったのだと知らせてくれる。 生成りの麻のカバーをかけたソファに深々と身を沈め、ロザリアはただぼんやりと夕暮れの景色を眺め… 夜曲(5) の続きを読む
「はい、卵。おまけを1つ、入れておきましたからね」 淡い水色の髪を背中でまとめた青年が、手籠を返してよこす。 中には茶色いこぶりの卵が11個。 割れないようにとの気遣いか、ところどころに古新聞を詰めてある。 「あり… 夜曲(4) の続きを読む
波の音が聞こえる。 繰り返し繰り返し、寄せては返し、また寄せる。 ソファに身を沈めたロザリアは、目を閉じてその繰り返す規則的な音を聞いた。 暖炉に揺らめくオレンジ色の炎。 テーブルの上には、透き通ったクリスタル… 夜曲(3) の続きを読む