花の咲く頃(13)
「夢のような日々でしたわ。」 ベッドに横たわったまま、ロザリアは満足げにそう、わたくしに告げました。 「もう・・・。 何も思い残すことはありません。」 残酷な人です。 貴方は最後まで。 わたくしは返す言葉もないままに、た… 花の咲く頃(13) の続きを読む
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「夢のような日々でしたわ。」 ベッドに横たわったまま、ロザリアは満足げにそう、わたくしに告げました。 「もう・・・。 何も思い残すことはありません。」 残酷な人です。 貴方は最後まで。 わたくしは返す言葉もないままに、た… 花の咲く頃(13) の続きを読む
いくつもの春が行き、夏が過ぎ、秋が来て、そして冬が終わった。 ロザリアが聖地を去ってから、もうどのくらいになることだろう。 過ぎ去った過去の思い出は遠く、ロザリアの胸の中でひっそりと生きているだけになっていた。 いまや、… 花の咲く頃(12) の続きを読む
「わかっているさ、そんなこと・・・。」 苦悩に満ちた表情でした。 それならば何故。 どうして、その思いをロザリアに伝えてはいなかったのでしょう。 オスカーは自分の気持ちをロザリアに、伝えてはいなかったのです。 はっきりと… 花の咲く頃(11) の続きを読む
その後。 わたくしは故郷の惑星に帰りました。 聖地にいる間には、ああもしたいこうもしたいといろいろなことを考えていたのですが、いざ自由の身になってみると、不思議なことに故郷に足が向かってしまったのです。 そしてそのまま居… 花の咲く頃(10) の続きを読む
開け放った窓から入る優しい風がさやさやと、ロザリアの頬にかかる長い髪を揺らしていました。 彼女の語り終えた過去は、おおよそわたくしの思う通りのものでしたが、それにしても本人の口からそのことをうかがうと、なんとも痛ましい思… 花の咲く頃(9) の続きを読む
その日、ロザリアは美しかった。 近寄りがたいほどの気品。 自信にあふれた優雅な物腰。 女王候補時代からずっと彼女を見守りつづけているオスカーの目をもってしても、今日ほどロザリアが美しく見えたことはない。 あでやかに咲く大… 花の咲く頃(8) の続きを読む
ぬめりとしたジェルが、背中に冷たい。 老廃物を吸いとって肌の代謝をよくするのだというオレンジ色の透明なジェルは、何度塗られても慣れることのできない気持ちの悪いものだった。 午前中にはプールに入り、800メートルほど泳いだ… 花の咲く頃(7) の続きを読む
薄物の白いカーテンが揺れている。 透けるような軽いローン地に、裾のところにだけバラの刺繍が施されていた。 濃い青の磁器に、好みのコーヒーの香り。 ロザリアは窓際の椅子にゆったりと腰掛けて、綺麗に整えられた庭… 花の咲く頃(6) の続きを読む
いくつもの季節がロザリアの傍を通り過ぎていった。 求められた義務をただ忠実にこなし、彼女は稀代の女王と謳われている。 緩やかに流れる聖地の時間。 その中でも多少の変化は起こっていた。 女王即位時の守護聖のう… 花の咲く頃(5) の続きを読む
風を切る。 夜の闇を縫って、馬は駆けてゆく。 びゅうびゅうと音を立てて風が耳元で唸った。 恐ろしくはない。 なのになぜ、こんなに胸の動悸が速いのか。 「出てこられないか?」 その言葉が、すべての思考を停止さ… 花の咲く頃(4) の続きを読む