蒼の蜃気楼(7)

穏やかな陽光に包まれた聖地。 緩やかな時間の流れは人ならぬ身となった守護聖の心を守り、下界で過ぎゆく年月の速さを忘れさせてくれる。 ある日の遅い午後、女王補佐官の茶会に参加したオリヴィエは、そこで女王交代を知らされた。 … 蒼の蜃気楼(7) の続きを読む

蒼の蜃気楼(6)

乾いた風の音がする。 数日ぶりに聞くその声に、オリヴィエはほうとため息をついた。 幾度聞いても慣れるものではない。 その下に生きるものすべてを、焼きつくすつもりか。 じりじりじり、灼熱の太陽は照りつける。 白い麻の布を深… 蒼の蜃気楼(6) の続きを読む

蒼の蜃気楼(5)

明くる日。 不貞寝を決め込んだオリヴィエが、さすがに起き出そうと寝台から離れたのは、既に東の空に白々と月の昇り始めた頃だった。 「誰かいるかい?」 いなければ良いがと思いつつ、問いかける。 返事はない。 ほっと息をつく。… 蒼の蜃気楼(5) の続きを読む

蒼の蜃気楼(4)

「嫌がっていたろう? ついさっきまでさ。 ここに出るの、気が進まなかったんじゃないのかい?」 銀の月に濡れた美しい夜。 庭園を歩きながら、オリヴィエは聞いた。 ち……と、内心で舌打ちをする。 我ながら、なんと情けない切り… 蒼の蜃気楼(4) の続きを読む

蒼の蜃気楼(2)

「ようこそおいでくださいました。」 明け方、城門をくぐった一行を迎えたのは、初老の見るからに身分の高そうな男であった。 守護聖の身分はあくまでも伏せての任務であったが、要所要所の要人にだけは、オリヴィエの身分を前もって知… 蒼の蜃気楼(2) の続きを読む

蒼の蜃気楼(1)

砂漠の夜には声がある。 冷えた大気を震わせて、時に優しく恐ろしく、その声を変える。 「今夜は機嫌が良いようだね。」 満天に散りばめられた星屑を振り仰いで、オリヴィエは目を閉じる。 まるで少女のはしゃぐ声。 軽やかなさざめ… 蒼の蜃気楼(1) の続きを読む